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【パートナー事例】「ケアニーズ」をわずか半月で Azure に移行しリリース、クラスイットのクラウド ビジネスを加速するビジョンと、今後のビジネス展望【12/22更新】

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2015 年 10 月に買収した事業の一部を Microsoft Azure へと移行し、同年 12 月に改めて正式リリースされた訪問介護事業所向けクラウド サービス「ケアニーズ」。移行に要した期間はわずか半月。このスピーディな取り組みを成功させたのが、株式会社クラスイット(以下、クラスイット) です。同社は 2008 年に創業し、これまではオンプレミスでの受託開発を中心にビジネスを展開していましたが、2015 年からクラウドへの取り組みを本格化、ビジネスを急速な勢いでシフトしつつあります。
クラスイットが急速にクラウド シフトを進める理由は何なのか。そして今後どのような展開を計画しているのでしょうか。クラスイット 代表取締役の阿部 文彦氏にお話をお聞きしました。

株式会社クラスイット
代表取締役
阿部 文彦氏


クラスイットの概要と「ケアニーズ」について

まず御社の概要についてお教えください。

 当社は 2008 年に広島で創業した SIer です。情報技術を用いて「心地よい環境とより良い仕組みのご提供」を目指しています。これまでの主な事業内容は、お客様の社内システムをイントラネットの形で構築する、オンプレミス型の受託開発です。


得意とする業種/業態はありますか。

特にありません。業種/業態には特にこだわらず、幅広い分野を手掛けています。また本社は広島にありますが、広島だけでは幅広い仕事ができないため、現状では広島 2 割、関東 8 割といった比率で仕事をしています。

 

2015 年 12 月には、Azure 上で「ケアニーズ」という、訪問介護事業所向けのクラウド サービスを開始しましたね。

はい。このサービスは、2015 年 10 月に広島のジーループという会社の事業を買収し、そこに含まれていたクラウド サービスを Azure に移行したものです。訪問介護のスタッフは、介護計画やシフト計画、実績報告などを作成する必要があります。これまではその作業を事業所に戻ってから行うのが一般的であり、移動時間を節約するために 1 か月まとめて作成するといったケースも多く、特定の時期に作業負荷が増大するという問題を抱えていました。ケアニーズをご利用いただければ外出先でも計画登録や報告書作成ができるため、この問題を解決できます。また訪問介護では計画の変更がひんぱんに発生しますが、これにも柔軟に対応できます。もちろんスマートフォンでの利用も可能です。

 

お客様からの評価はいかがですか。

既に 10 事業者のお客様に使っていただいておりますが、非常に好評です。訪問先で登録作業が行えるため、スタッフは時間を有効に利用できます。また取りまとめを行う方も、日々の状況をすぐにつかむことができるため、作業量の平準化だけではなく、間違いをすぐに見つけて指摘できる点も評価されています。

 

ケアニーズの Azure への移行とクラウド ビジネスへの取り組み

10 月に買収したサービスを、その 2 か月後に Azure で提供するというのは、非常にスピーディな対応ですね。移行に要した期間はどの程度だったのですか。

 半月程度です。LAMP (Linux + Apache + MySQL + PHP) で構築されていたサービスを、ほぼそのままの形で Azure に移行できました。今回変更したのは Web サーバーの追加だけです。以前は Web サーバーが 1 台だったのですが、Azure への移行に伴い 2 台構成で負荷分散を行うことにしました。このような構成変更も、Azure であれば簡単に実現できます。

 

移行先のクラウドとして Azure を選んだ理由は。

当社は創業当初からマイクロソフトの製品を活用しており、Microsoft 認定パートナーにもなっています。実は Azure も 2014 年から開発環境として使っており、2015 年 7 月からはお客様のシステム構築案件でも、積極的に提案するようにしています。また他社のクラウドと比較しても、今後マイクロソフトのクラウドが最も広く浸透するはずだと見込んでいます。企業ユースでクラウドを使うのであれば、マイクロソフトの選択が必須だと考えています。

 

クラウドへの取り組みを開始したのはなぜですか。

まず 1 つは、マイクロソフトの軸足がクラウドへと移ったからです。今後もパートナーとして活動していくには、当社もクラウドに軸足を置く必要があると判断しました。もう 1 つの理由は、お客様の意識変革が始まりつつあると感じたからです。これまではセキュリティなどの理由から導入に否定的だったお客様が、最近ではクラウドの方がセキュリティ面でも優れていると考えるようになっています。今後数年で間違いなく、企業システムの主流はクラウドベースへと移行していくはずです。

 

マイクロソフトが提供するクラウドへの期待

マイクロソフトの他のクラウドも活用していますか。

 はい。Microsoft Office 365 は 2014 年から社内利用を開始しており、それとほぼ同時期にお客様にも提案し、既に 2 社への導入を行っています。また Microsoft Dynamics CRM Online も 2015 年 7 月から使い始めており、お客様にも提案中です。Microsoft Dynamics に関してはクラウド CRM のコンピテンシーを取得するため、社内資格者の育成も進めており、必要となる 4 つの技術資格のうち、3 つを取得しており、年内に全て取得予定です。
※ (2015 年 12 月 9 日に 4 つ目を取得)

 

ケアニーズは Azure 上で LAMP 構成になっていますが、これを Windows ベースにする計画はありますか。

ケアニーズに関しては、今後もこのままの状態で運用したいと考えています。訪問介護は予算の確保が難しい世界であり、大きな投資が困難だからです。実はジーループの事業を買収したのも、ケアニーズだけが目的だったわけではなく、優秀な人材を確保する手段の一環として実施したものです。

 

ケアニーズを足がかりとして、他の事業を展開していくと。

そのとおりです。ケアニーズ提供の最大のねらいはここから収益を得ることではなく、運用ノウハウを確立することにあります。既にこれまでの取り組みの中で、クラウド サービスはヘルプ デスクの効率化が収益確保の重要な鍵になるということがわかってきました。お客様への対応を電話で行っていたのでは、収益以上のコストが掛かってしまい、ビジネスを継続できないのです。そのため現在、ヘルプデスクのシステム化に向けた開発を進めています。これは収益化という面でも重要ですが、Web サイトなどでセルフ サービス化を推進することは、お客様にとっても利便性向上というメリットがあります。

 

ヘルプ デスクの開発はいつから始まっていますか。

2015 年 11 月 18 日に設計作業を開始しました。年内には開発を完了させ、2016 年 3 月までには正式リリースしたいと考えています。

 

動きが速いですね。

スピード感には自信があります。今後は開発したヘルプ デスクを外販することも考えています。

 

システム開発を行うにあたって、注目している Azure の機能はありますか。

ケアニーズではデータベースに MySQL を使っていますが、今後の開発は Azure SQL Database を活用したいと考えています。MySQL はバックアップ処理の負荷が高く、細かいチューニングが必要なのですが、SQL Database ならその必要がありません。またマシン ラーニングにも期待しており、近いうちに導入する予定です。Power BI も、ケアニーズのシフト計画分析などの機能をオプションとして提供するうえで、有効活用できると考えています。

 

今後のビジネス展開について

今後のビジネス展開についてお教えください。

 まずケアニーズに関しては、既存のお客様に Azure へと移行していただく予定です。既に案内を出していますが、お客様のご理解により、移行は問題なく進みそうです。2016 年 1 月には既存サービスを停止し、Azure のみでの提供にできるはずです。新規の受託開発でも積極的にクラウド提案を行っていきます。Azure を中核とし、これを Microsoft Dynamics CRM や Office 365 と連携させることで、幅広いニーズに対応できます。
特に Microsoft Dynamics CRM を開発基盤とすることでダッシュボード機能を利用したわかりやすくシンプルなインターフェイスを用いて、CRM という成長分野において、アドオンできるクラウド サービスの展開を図ります。

 


[サービス概要イメージ]

具体的には、先程話しましたヘルプデスク システムにおいて、ヘルプデスクの各スタッフは Microsoft Azure に構成された Web アプリケーションを利用登録し、各データは Microsoft Dynamics CRM カスタム エンティティのヘルプデスク DB に登録され、Microsoft Dynamics CRM の標準 DB と同期を行います。

[ヘルプデスクシステムのダッシュボードサンプル画面]

これによりマネジャーは Microsoft Dynamics CRM を利用した評価、分析機能を利用した、お客様満足度を高めたサービス向上となるアクションがこれまで以上に、迅速かつ適切に活用することができ、さらにはトップマネジメントである人事評価の基礎データとして活用することも可能となります。
これらのメリットを最大限に活用できる、このクラウド構成は、今後弊社のあらゆるサービスに展開する予定です。

 

受託開発でもクラウドは必須になるとお考えですか。

もちろんです。お客様にあわせて最適化された受託開発とクラウドの融合、オンプレミスとクラウド ソリューションの融合は、SIer が生き残っていくうえで必須条件になります。オンプレミスのシステムは、お客様にとってもメリットが小さいですし、当社としてもあまりやりたくありません。既存のお客様に対しても、次のシステム リプレースのタイミングで、クラウドへの移行を提案していきます。マイクロソフトのクラウドは間違いなく市場に浸透し、5 年後にはオンプレミスの方が珍しい存在になるはずです。この流れをアクセラレートし、クラウド中心へのシフトを支援することこそが、これからの SIer の使命だと考えています。

 

ありがとうございました。

株式会社クラスイット
2008 年 6 月に広島で創業した SIer。同年 10 月には Microsoft 認定パートナーになり、マイクロソフト製品を活用したさまざまなシステムの受託開発を行ってきました。2015 年からはクラウド ビジネスへのシフトを本格化。訪問介護事業所向けのクラウド サービスである「ケアニーズ」を 12 月にリリースするなど、スピーディな事業展開を進めています。

 


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